さて、百と七十番目の夜にシャハラザードが語りましたところによりますれば……

おお、幸多き王様よ! わたくしの聞き及びましたところでは、
エスパーニャの都シラーズにとある王様がいらっしゃいました。
この王様が年老いてからやっと授かりました一粒種が、
満月のように美しいカマル王子。
御年十八歳になりましたが、これが大変な女嫌いで、
父王が結婚を命じるも、頑として聞き入れません。
一方、ダマスカスのガユール王には、
たいそう美しいと評判のブドゥール姫がおりました。
こちらの姫君も大変な男嫌いで、あまたの求婚話に見向きもいたしません。
ところがある夜、魔神(ジン)の仕業で出会った二人は、
一目見た途端、互いに激しい恋に落ちてしまいました。
けれども二人の国は遠く離れ、再び会うことはままなりません。
かくして、カマル王子はブドゥール姫を捜す旅に出かけ、
ブドゥール姫は幼馴染みの魔法使い(マグリブ人)・マルザワーンに
恋しい人の捜索を頼みましたが……


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今回は、この物語に脚色を加え、ダンスとアクションをふんだんに取り入れた
華やかな舞台をお送りいたします。

  ●『カマル王子とブドゥール姫』
  ●『アラビアンナイト