江戸薀蓄

第三回【江戸時代の双子って?】

また出てきます、双子。どうも私は双子好きなようです。憧れるんでしょうか。
そういえば『ハリー・ポッター』でもウィーズリー兄弟の赤毛ツインズが大好きです…。
「オーラの泉」風に言えばきっと前世や私の今生でのテーマと深い関りが(違)

ともあれ、そのようにテーマでついつい選んでしまうことの多い<双子>。
今回は”江戸時代の日本においての双子”という事で作中に取り上げております。

調べたところ、「家を守る」という意識が強い武家や大店の商家では
双子が産まれるやいなや、間引かれたり(=殺されたり)という風習は確かにあったようです。
そういう意識が薄い町人界隈ではあまりなかったらしいのですが…。

中でも、特に忌まれたのは男女の双子であり、その二人は「心中者の生まれ変わりだ」
というのが通説だったようです。とはいえ、今で考えるような{悲恋=ロマンチック…☆}
というニュアンスで「心中者の生まれ変わり」と言っていたのではありません。

心中といえば当時は大罪。二人が共に死んだ場合は遺体は正式な埋葬を許されず、
どちらか一人生き残った場合も殺人罪に問われ処刑、二人とも生き残った場合は
晒されたうえで非人の手下になる=身分を極端に貶められるというものでした。
というわけで「心中者の生まれ変わり」という言葉は「心底忌まわしい」という語気であったのでしょう。

そしてこの迷信・俗信、九州や西日本を中心に、なんと戦前まであったとか!?
ちょっと驚きですけどね。でも、それほど日本人に浸透していた俗説だったといえるのかもしれません。

また同性の双子においては「菩薩と夜叉の生まれ変わり」といったそうで
(以前、伊藤英明主演でドラマ化もされた吉田秋生の漫画『夜叉ーYASHAー』(すみません未読です…)
においてもこちらはメイン・エピソードとして用いられたそうなので、ご存知の方も多いかもしれません)
兄もしくは姉の方を「下の者を押しのけ先に世に出でる鬼子」として位置づけ、
弟もしくは妹の方を「上の者に先に道を譲りし菩薩子」として位置づけていました。


ドチラにしても、双子=忌み嫌われるような存在だったのですね。


しかし、双子の赤子が必ず殺されたかというとそうでもなく、棄てられたり
別の家へ貰われていったり、という事も少なくなかったようで。
(私が読んだ作品は名前もつけられず幽閉され続けた、ってヤツでしたが…)

本作〜劇中では、棄てられた大名家の双子の兄、というのがキーマンとして登場します。
彼らの人間関係が少し複雑かもしれませんが、コチラの項〜双子についての概念を
事前にお読み頂ければ、おそらく、もっと作品が解りやすくなる=更にお楽しみ頂ける事と思います;
す、すみません;






ちなみに。蛇足ながら、その双子を産んだ母親は…というと。
「人間は1人が一人を産むのが当然であり、二人以上も産むのは家畜と同じ」
という強引な迷信@考え方から、彼女らは動物のように多産=「畜生腹」と蔑まれる事も多かったとか。
不吉を運ぶ嫁として、場合によっては離縁、という事もあったのかも。
身分がウルサイところってゆうのは色々不便ですねえ…そういう所に嫁にいきたくないもんです…。



過去の江戸薀蓄▽
第二回「髪型って?」
第一回「雪月花って?」